弱者の戦略
前回、「3つの基本戦略」をご紹介しましたが、第1のコスト・リーダーシップは十分な経営資源を持つ大企業でないととれない戦略です。
それに対し、第2、3の差別化と集中は、中小企業の事業選択もできて、大企業に対抗できる戦略です。
この大企業に対抗できる戦略として、もう1つ有名なものがあります。それは【ランチェスターの法則】です。
ランチェスターの法則とは、フレディック・ランチェスターというイギリスの航空技術者が、考えた法則で、第一次世界大戦中の空中戦として、どうすれば戦いに勝てるかを法則としてまとめたものです。
それが1950年代から日本でも、経営戦略として 応用されて、「ランチェスターの戦略」「ランチェスター経営」などと呼ばれるようになりました。
ランチェスターの法則にはいくつかの側面がありますが、注目されたのは大企業に対して中小企業でも戦いを挑める「弱者の戦略」の部分です。この弱者の戦略の基本的戦略は「差別化戦略」です。
ではその側面をみていきましょう↓
その側面とは
①局地戦
②一騎討ち
③接近戦
④一点集中
⑤陽動作戦
の5つです。
これをマーケティング戦略に置き換えると、たとえば、次のような戦略が考えられます。
①絞り込んだ標的市場で戦う「局地戦」
②競争相手の少ない市場で戦う「一騎討ち」
③広告など、より販売促進に重点を置く「接近戦」
④経営資源を集中させる「一点集中」
⑤こちらの戦略を悟られない「陽動作戦」
ランチェスターの法則には、「強者の戦略」もあります。もし、自分が大企業の立場だったら、弱者の戦略の裏返しを狙うと良いでしょう。強者の基本的戦略は「ミート(追随)戦略」です。弱者が取る差別化戦略に対して、その差別化のポイントに追随して、弱者の競争優位性をなくすという戦略です。
①広域戦(大きな市場を対象にする)
②確率戦(競争相手を力で押さえ込む)
③遠隔戦(大規模広告などを打つ)
④総合戦(大企業の総合力で勝負する)
⑤誘導作戦(相手を自社の土俵に引き込む)
などの戦略が有効です。
以上が、ランチェスターの法則になります。