~経営の要~

マーケティング

ブランドについて

今回は「ブランド」についてです。

 

ブランドと聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。まず思い浮かぶのはヴィトンやシャネルのような、いわゆる有名なブランドが多いのではないでしょうか。「ブランドもの」といえば、これら有名ブランドの製品のことです。

 

近年よく聞く〇〇ブランドとしては、「プライベート・ブランド」というのもあります。大手スーパーなど流通業者が、自社の流通だけで販売する商品群で、同程度の商品が比較的安く買えるところが消費者にとってメリットです。

 

いまや大手の流通チェーンで、プライベート・ブランドを持たないところはないといっていいほど当たり前の〇〇ブランドになりました。プライベート・ブランドに対して、大手メーカーが作って全国に展開するような、(プライベート・ブランドより少し割高な)商品を呼ぶときは「ナショナル・ブランド」といいます。

 

 

「ブランド」とは要するに何のことか

アメリカ・マーケティング協会の定義では、ブランドとは「商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの」というふうに定義されています。

 

つまり、他社とは違う〇〇という商品名や、そのデザインなどはみなブランドということです。もし、あなたの会社の商品があまり有名でなく、家族も知らないようなものだったとしても、立派なブランドなのです。

 

ただし、先ほどの定義の中に「競合他社の商品やサービスから差別化するための」とある点には注意してください。 

 

高級ブランドやプライベート・ブランド、ナショナル・ブランドは、名前を聞いただけでわかるほど、他社と「差別化」するために役立っています。あなたの会社のブランドがそれほどでないとしたら、ブランドには変わりないとしても、力の弱いブランドだということです。

 

身近なブランドを例にあげると知らない人はいないというくらい認知されているコカ・コーラマクドナルドなどがあります。これらもブランドです。

 

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またブランドは、階層で考えることもできます。

有名ブランドで言えば、「ルイヴィトン(ジャパンカンパニー)」という会社自体もブランドですし、Bulgari S.p,Aという会社が所有する「BVLGARI」は、宝飾品から香水、メガネまでそろったブランドです。

 

ブランドには5つの階層があります。

 

1 コーポレート(企業)ブランド

Ex) ソニーマイクロソフト、グーグルなど  →  企業名

 

2 事業ブランド

Ex)ミスタードーナツ牛角など         →  企業グループ内の事業単位

 

3 ファミリー・ブランド

Ex) ビオレ、植物物語など           →  複数の製品カテゴリー

 

4 製品群ブランド

Ex) カップヌードルマルちゃん正麺など    →  複数の製品

 

5 製品ブランド

Ex)綾鷹からだ巡茶など          →  個別の製品

 

以上がブランドの階層です。

 

大きな会社は必ず複数のブランドを持っています。例えば、「ミスタードーナツ」「牛角」などは、消費者の立場からみればそれぞれチェーン店の名前かもしれません。

 

しかし、ブランドとしてみれば、ともに【株式会社太陽エンタープライズ】の事業ブランドですし、「土間土間」「かまどか」などもそうです。ブランドを育てる立場の人は、こうした見方も忘れてはいけません。これからは、町で見かけたブランド名に注意すると面白いかもしれません。

 

ブランドの力は「ブランディング」次第

ブランドは、つくっただけで成り立つわけではありません。名称やロゴを見ただけで、他と差別化できるほどの力を持つまでには、様々な戦略が必要です。

このように、商品やサービスにブランドの力を持たせることを「ブランディング」といいます。有名ブランドと、名もないブランドの差は、これまでに行ってきたブランディングの差といっていいでしょう。

 

ブランドは会社の財産である

ブランドの力を持った商品やサービスは仮に全く同じ品質の商品やサービスがあったとしても、消費者にとってはプラスアルファの価値があります。早い話、ブランドものかどうかで、何倍も高い価格で喜んで買ってもらえることがあります。

 

このプラスの価値を「ブランド・エクイティ」といいます。

カスタマー・エクイティと同様、ブランドもまた会社の財産ということです。

 

どんなブランド戦略があるのか

商品やサービスをブランド化しない、品質・サービス・価格で勝負、という道もなくはないです。しかし今日では、生鮮食品ですら、「ブランド牛」「ブランド野菜」「ブランド米」などが全盛の時代。

 

ブランディングの力を借りない選択肢は、現実にほとんどないといっていいでしょう。ブランド化にあたっては、一般に4つの戦略が考えられます。

 

 ①個別の製品ブランドにする

 ②1つのファミリーブランドにする

③いくつかのファミリーブランドにする

④企業ブランドと組み合わせる

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何のブランドも持っていない会社や、会社にとって全く新しいタイプの商品・サービスの場合は、個別の製品ブランドから出発するしかありません。ただし、その商品やサービスが成功すれば、製品群ブランドに発展することも多いものです。

 

実際、日本コカ・コーラの缶コーヒー「ジョージア」は、オリジナルからスタートして、現在は20種類以上の製品群を構成しています。次に、商品カテゴリーが違う製品を発売する場合などは、ファミリー・ブランドとするのが1つの戦略です。たとえば、再春館製薬所の基礎化化粧品軍は、「ドモホルンリンクル」という1つのファミリーブランドとなっています。

 

また、1つの会社でも」違う製品群を開発するときは、いくつかのファミリー・ブランドにすることが多いものです。花王には、洗顔料などのファミリー・ブランドとして「ビオレ」がありますが、乾燥性敏感肌のスキンケア・ブランドは「キュレル」としています。

 

さらに、企業ブランドが十分に強い場合には、製品ブランドと組み合わせる戦略も可能です。

 

こうしたブランド戦略がうまくいくと、消費者はブランドに強い愛着を感じるようになります。たとえば、ファッション・ブランドのシャネルは、日本で「シャネラー」と呼ばれるほど、全身にシャネル製品をまとった消費者を出現させました。

 

このように、あるブランドに対し、まるで忠誠を誓ったかのように購入し続ける傾向を「ブランド・ロイヤルティ」といいます。顧客ロイヤルティもそうですが、ブランド・ロイヤルティを高めることは、すなわち、安定した顧客を確保することとなります。

 

また、同じ商品やサービスでも、より高い価格で買ってもらえることにもつながるため、ファッション・ブランドに限らず、すべての企業・製品ブランドにとって重要な目標となります。