製品戦略
ここからはマーケティングの4Pのスタート地点であり、マーケティング・ミックスの要でもある製品戦略についてです。
まずはじめに、「製品」と聞くと、工業製品だったりモノを思い浮かべることが多いと思います。しかしそれだけではありません。
マーケティングの神様と呼ばれるマーケティング論の第1人者のフィリップ・コトラーは、マーケティングの対象になる製品には10種類があると言っています。
~対象となる10種類~
1 有形財 日用品や機械、形のある商品や製品
2 サービス 交通や宿泊など、無形サービス全般
3 イベント コンサートやスポーツイベントやセミナー
4 経験 テーマパーク等、特別な体験を経験させるもの
5 人 芸能人など、著名人のマネジメント
6 場所 地方自治体など、企業や新住民の勧致
7 資産 土地や株・債券など売買されるもの
8 組織 企業や非営利団体の顧客・財産の獲得
9 情報 新聞や雑誌、インターネットのサイトなど情報メディアなど
形のある「有形財」はもちろんですが、形のない無形の「サービス」もその対象となります。レストランなどのように料理という財とサービスを同時に提供しているケースもあります。
「イベント」にはマーケティングが欠かせませんし、テーマパークなど「経験」を売りにする場合も同様です。芸能人の「人」を売れるようにするのもそうですし、「地域=場所」に企業を誘致したりというのも増えています。
最近で言うと、仮想通貨など、売買される「資産」は当然として「組織」を対象に、売り上げを上げたり予算を多く獲得できるような戦略を立てることもできます。「情報」や「アイデア」は意外かもしれませんがマスコミのメディアやインターネット広告は、「情報」を商品として利益をあげています。
商品や製品のもとになる「アイデア」も広い意味でうれるようにしたいときは対象になりえるでしょう。
このことは実はとても重要です。なぜなら普段生活している身の回りにもあらゆるマーケティングの仕掛けがされているからです。たとえば、駅の中の自動販売機やコンビニの商品を置く位置、スーパーなどのBGMなどあらゆるものがあります。
~顧客が製品を判断する要因とは~
顧客は次の三角形の図で示された3つの要因で製品を判断しています。
「サービス・ミックス」が含まれるのは、形ある製品(有形財)と形のないサービスが、様々な割合で混合している製品が実際に多いためです。たとえば、野菜は「純粋な有形財」ですが、調理師して弁当に入ると「サービスを伴う有形財」になります。レストランで提供されれば、「有形財とサービスの混合」になるでしょう。3つの要素のうち、価格・価格戦略については後の記事で紹介します。
~製品戦略は5つのレベルで考える~
マーケティングの神様と呼ばれるマーケティング論の第1人者のフィリップ・コトラーは、製品について5つの製品レベルで考えるべきだといっています。
以下がそのレベルです。
1 中核ベネフィット(顧客のニーズを満たすだけのレベル)
2 基本製品(最低限の基本的なことを満たすレベル)
3 期待製品(通常、顧客が期待していることを満たすレベル)
4 膨張製品(顧客の期待を上回るレベル)
5 潜在製品(将来も顧客の期待を上回り続けるレベル)
最初のレベルは中核ベネフィットで顧客が求めているそもそものニーズです。第2のレベル「基本製品」は顧客うが最低限これだけはと思う程度の基本的なレベルです。第3のレベル「期待製品」は顧客が普通に期待する程度のレベルです。第4の「膨張製品」は顧客の期待を上回るレベルです。最後の「潜在製品」では将来の可能性、顧客の期待の期待を上回るレベルです。中核ベネフィット→レベルが上がるほど価値も上がっていきます。
簡単に、住まいを例にみていきましょう。
中核ベネフィット 雨露をしのげる
基本製品 電気・ガス・水道の使用可能
期待製品 冷暖房や防音性が完備
潜在製品 外出先から家電を操作できる
製品戦略はこのような製品レベルを考える必要があります。
価格が安い、品質が良いだけでなく、膨張レベルの品質になっているか、もう一歩その先まで深堀して考えられないかなど一歩進めて考えることが大切です。
潜在製品レベルまで追求できるとベストでしょう。