Place(流通)
今回はマーケティングの「4つのP」でもある【流通】についてです。
「流通」といわれると、トラックとか配送センターとか、「物流」のイメージがありますが、物流だけが流通ではありません。
~流通には3つの機能がある~
日本では一般に、流通の内容として3つの「〇流」をあげます。
第1は、言うまでもなく「物流」。製造から消費者に至るまで、モノとしての製品の流れです。
第2は、「商流」。これはモノの所有権と、代金などお金の流れを指します。通常、所有権はモノの流れにそって流れますが、代金の流れは逆方向です。
それでも昔は、物流と商流が同じ経路をたどっていたものですが、現代では必ずしも一致していません。たとえば、注文は販売代理店が受けたのに、配送は直接、工場から消費者へ、といったケースもみられるでしょう。
そして第3の流通は「情報流」です。つまり、物流や商流、あるいは製品そのものに関する情報も、流通経路を通じて流れているのです。たとえば、注文や配送の情報、取引の情報、決済の情報などが情報流として流れています。
流通戦略では、この3つのj機能を考える必要があります。
流通チャネルにはいろいろな要素がある
物流にしろ、商流、情報流にしろ、メーカーから直接、消費者に流れるケースはむしろまれです。間に卸売・小売といった業者が入ることが多いでしょう。
そうすると、メーカー → 卸売 → 小売 → 消費者という流通の経路ができあがります。この経路が、「マーケティング・チャネル」とか「流通チャネル」と呼ばれるものです。流通戦略とは、この流通チャネルをどうつくりあげるかということにほかなりません。
流通チャネルには、さまざまな要素があります。たとえば、メーカーと消費者の間に何段階の業者を入れるか。その段階数によってチャネル、すなわち流通経路の長さが変わってきます。
ネットや各種の通販は、間に業者が入らない「0チャネル」です。小売店を入れると「1段階チャネル」、さらに卸売業者を入れると「2段階チャネル」、大卸まで入れると「3段階チャネル」となります。
自社のターゲットとする顧客が、どんな流通を求めているのかを考えて、これらを決めていかなければなりません。
間に入れると業者にしても、通常の小売店や卸売業者でよいのか、あるいは販売代理店にするかなど、いくつかのタイプがあります。
「排他的流通」「選択的流通」「開放的流通」
全体的な業者の数は、流通に関する戦略によって違ってきます。
「排他的流通」は、業者の数を極端に制限する戦略です。1地域に1社といった限定をして、ブランド・イメージを厳しくコントロールしたい場合などに選択します。
一方、数社に絞り込んで選ぶのが「選択的流通」。ある程度コントロールもしやすく、コストも課題にならずにすみます。
「開放的流通」では、業者を選びません。できるだけ多くの店においてもらって、どこでも買ってもらえるようにします。
これらの戦略のどれを選ぶかで、必要な業者の数も変わり、流通チャネルの形態も変わってきます。