マーケティング・システムの構築
流通チャネルを「システム」として動かす
流通チャネルにも、いろいろな考え方が登場しています。現在ではとくに、チャネルをメーカーや業者の寄せ集めでなく、システムとして動かそうという考え方が盛んです。
こうしたものは「〇〇マーケティング・システム」という名で呼ばれています。
昔ながらの流通チャネルは、メーカー、卸売業者、小売業者で形作られています。それぞれは独立した会社ですから、基本的に自社のことしか考えません。自社の利益を追求するあまり、他社に損害が生じようがおかまいなしです・・・。
これでは経済効率が悪いということで、考えられたのが「垂直的マーケティング・システム」(バーチカル・マーケティング・システム=VMS)というものです。メーカーから卸売業者から小売業者と続く垂直的な流れを、システムとして動かそうというわけです。
チャネルのうちのいずれかの会社が「チャネル・キャプテン」になって全体をコントロールしたり、チャネルをフランチャイズ化したりしてシステム化します。
VMSには、生産と流通を1つの企業で行う「企業型VMS」、メーカーと流通業者が契約によって統合する「契約型VMS」、契約はないが強力なチャネル・キャプテンの主導のもとで、生産・流通が統制される「管理型VMS」の3タイプがあります。
現在のチャネルは、VMSを発展させた「サプライ・チェーン・マネジメント」までをつなぐ業務のつながり(チェーン)のことで、VMSと違うポイントは消費者までも巻き込み、出発点とすることです。
消費者の注文で、希望の仕様のパソコンを組み立て、提携するBTO(Build To Order)という販売方法がありますが、これはSCMの代表的な例です。とくに、デル・コンピュータのBTOは、その成功例といわれています。
流通チャネルは1つとは限らない
同じ流通チャネルでない、関連のない会社同士がシステムを構成することもあります。新しい市場を開拓する場合などに、異業種の会社が提携してチャネル・システムをつくります。
これは「水平的マーケティング・システム」といいます。わかりやすい例をだすと、「ビックロ」(ユニクロとビックカメラの提携)があります。
さらに現在では、1社に1つの流通チャネル、という固定概念もなくなっています。ターゲットが複数あるなら、複数のチャネルを使えばいいという考え方で、「マルチチャネル・マーケティング・システム」と呼びます。
流通戦略を考える際には、こうした「〇〇マーケティング・システム」も検討も必要です。