~経営の要~

マーケティング

販売促進とPR

SP広告とセールス・プロモーション活動

販売促進は、英語で「セールス・プロモーション」。日本語では、「販促」と略したりします。広告などとの大きな違いは、「インセンティブ(報奨)」の働きもあるということです。たとえば、商品におまけをつけて買ってもらうのも、立派なインセンティブです。

 

 販売促進には、他にもいろいろな活動がありますが、大きく分けると「セールス・プロモーション広告(SP広告)」と、「セールス・プロモーション活動」があります。ここでは前の記事からの広告のつながりでSP広告のほうから説明しましょう。

 

SP広告はどんなものがあるか

SP広告の例は一部、前の記事にも上げましたが、詳しく見ると次のように多彩なものがあります。主なものを説明しましょう。

 

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 まず「POP広告」があります。「ポイント・オブ・バーチェス=購買時点」広告の略で、よく、小売店頭などに手書きで掲出されているのがこれにあたります。

 

「ダイレクト・メール(DM)」もSP広告の1つ。送らずに手渡しするものは「ダイレクト・ハンド(DH)」といいます。一方、新聞に折り込まれて届くのは「折り込み広告」です。1枚ものの広告は「折り込みチラシ」ともいいます。ティッシュなど添えて配布されるのは「街頭配布」ですが、場所により「店頭配布」になることもあります。住宅の郵便受けに入れるのは「戸別配布」です。

 

「屋外広告」にも、いろいろなものがあります。ただし、球場や競技場など、人が集まる場所に掲げるのは別に「特定施設内広告」と呼びます。

 

 「フリーペーパー」「フリーマガジン」はおなじみですね。

そして、とにかく種類が多いのが「交通広告」。電車やバスの「車体広告」はもちろん、「駅広告」としては「駅貼り」があり、「タクシー広告」もよく見かけます。

 

「消費者向け」「流通向け」「社内向け」

続いてセールス・プロモーション活動を見ていきましょう、

 セールス・プロモーション活動は、実は、大きく分けると3種類あります。「消費者向けプロモーション」、「流通業者向けプロモーション」、「社内向けプロモーション」があります。

 

消費者向けとしては、お店に商品を飾ること(店頭ディスプレー)から始まって、商品やサービスの実演(デモンストレーション)などが基本です。試供品・見本の提供(サンプル)や、割引券(クーポン)、引換金(バウチャー)の配布もおなじみです。

 

スタンプ(スタンプ・サービス)、現金の割り戻し(キャッシュ・バック)などもそのひとつです。そのほか、展示会(セールスショー)やイベントの開催(イベント・プロモーション)、イベントへの資金提供「イベント・スポンサーシップ」など、大掛かりなプロモーションもあります。

 

一方、オマケなどをつけて、買う気になってもらうものを「インセンティブ」といいます。消費者向けのインセンティブとしては、景品を付ける「プレミアム」、記念品程度を付ける「ノベルティ」、それに各種の競技会を開く「コンテスト」などが代表的です。

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流通向けとしては、「報奨金」や「報奨旅行」、売上の一定割合を返金する「リベート」が一般的ですが、イベント関連で見本市(トレードショー)を開催することもあります。

 

「ディーラー・ヘルプス」とあるのは、流通業者に対して、販促資材の提供や経営指導、販売員教育などを行うものです。これらのうち、「コンテスト」は、消費者向けの作文コンテストなどの一般的なものから、流通向け・社内向けの販売コンテストまで、幅広く利用されています。こちらは、とくに「セールス・インセンティブ」と呼ぶこともあります。

 

広告(AD)とPRの違い

 

「PR」はパブリックリレーションズの略です。日本語では「広報」などと訳されます。一方で、広告(AD)は、アドバンスメントの略です。ではADとPRの違いは何でしょうか。

 

PR活動の1つに「パブリシティ」というものがあります。身近で言うと新聞や雑誌に記事として新製品情報などが載っていたりするものです。簡単にいうと、製品の情報などをマスコミに提供し、記事として取り上げてもらうもの。広告と違い、媒体料金は支払っていません。つまり、無料の広告のようなものです。

 

パブリシティは新製品情報に限らず、次の図のようなものがあります。

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ちなみに、広告の手法の1つとして、情報を記事やニュースの形で流すこともありますが、この場合は広告料金を支払うのでパブリシティではなく「ペイド・パブ(リシティ)」といいます。

 

パブリシティも含めて、企業がパブリック(公衆)と良好な関係を築くための活動が「PR(パブリック・リレーション)」です。会社によっては、PR活動の大きな部分をパブリシティなど、報道対策が占めます。報道に対する情報提供の方法は、「プレス・リリース」と呼ばれる報道資料の配信や、個別の取材対応などです。

 

大きなイベントや画期的な新製品といった、重要な情報の場合には、記者会見(プレス・カンファレンス)を開くこともあります。

 

報道対策だけでなく、広告誌を発行したり、社会貢献活動を行ったりすることも、PR活動の1つです。いずれの活動にしても、広告に比べて、消費者の信頼を得やすいのが特徴です。新聞や雑誌の記事のほうが、広告より一般的に信頼されやすいし、買わされるという警戒心も起こりません。