Eコマース
「Eコマース」のEはいずれ不要になる?
どこの会社にとっても、インタネットは無視できないものになりましたが、英語では店頭販売との関係から、次のような会社の呼び分けをしています。
「クリック」がネットを、「ブリック」「モルタル」が店舗をあらわしています。
電子商取引のことを英語では「Eコマース」といいます。
企業間の電子商取引、B to Bも盛ん
電子商取引では、企業をB(ビジネス)、消費者をC(カスタマー)であらわして、
(企業) B to C(消費者)
(企業) B to B(企業)
(消費者)C to C(消費者)
の取引が行われます。
消費者としておなじみなのは、ネット通販などのB to C、それにネットオークションなどのC to Cでしょう。
しかし実は、B to Bもかなり盛んです。大企業が「購買ホームページ」を開設して、取引実績に関係なく、その都度条件のあう部門メーカーから調達するようなことも起こっています。
従来の取引先との利害衝突を避ける法
最も多いのは、上の表記でいえば「ブリック・アンド・クリック」、店舗販売からサイトを開設した会社です。そして
そういった会社で一番多い悩みは、ネットに顧客を奪われる従来の取引先との、利害衝突ではないでしょうか。
コトラーが、それを両立させる3つの戦略を提案しているので、ご紹介します。
1 ネットでは従来と違うブランド、製品を提供する。
2 従来の取引先には、より高い手数料などで補償する。
3 ネットで受けた注文も、配送と集金は取引先にお願いする。
「20対80の法則」
電子商取引のB to Cで、かつて有名になった言葉に「ロングテール」というのがあります。しかし、これを理解するためには、先に20対80の法則を紹介します。
20対80の法則とは、一部の要素が全体に大きな意味や役割を持っているといった意味の法則で、いろいろな面で応用されます。
たとえば、製品と売り上げの関係でいえば「製品の20%、80%ピッタリではないにしても、製品と売上がこのような傾向を示すことは事実です。そのため、商品管理などでは上位20%の品目だけを重点管理するような方法も一般的です。
長いしっぽが巨大な収入源になる
ところが、インターネットのB to Cでは、これと違った現象が見られます。たとえば、ネット通販大手のアマゾンのように1億種類以上の商品を扱っていると、仮に80%の商品が1個ずつしか売れなかったとしても合計は8000万個。それ自体とんでもない数字だし、20対80のバランスも崩れるでしょう。
このことを発見し、電子商取引では80%の部分も無視してはいけないと提唱したのが、アメリカの雑誌編集長だったクリス・アンダーソンという人で、そのキーワードが【ロングテール】です。
通常、商品ごとの売上高を大きい順に並べてグラフにすると次のようになります。
初め急に、やがて緩やかに減少し、ゼロに近づく双曲線を描きます。図の左部分がそれで、このとき累計売上高をとると、20%の品目で80%の売上を占めることがわかるのです。
ところが、ネット通販で膨大な品目数を扱った場合は、図の右側のように、しぼったみたいな線が伸びます。
これが【ロングテール】です。
あまりにも長く伸びるため、1つ一つの売上高はわずかでも、合計すると巨大な額になります。こうして、80%の部分も大きな収益源になっています。
もっとも、このビジネスモデルが成立するのは、ねぅと通販の在庫管理や流通にかかるコストが、従来の小売りに比べてはるかに小さいからです。