ダイレクト・マーケティング
間に入れず「ダイレクト」にコミュニケーション
コミュニケーション・ミックスの1つとして「ダイレクト・マーケティング」を上げることがあります。
「ダイレクト・マーケティング」とは、次のようなコミュニケーションのことで、消費者個人に向けて「ダイレクト」に働きかけるものです。
基本的に、間に何らかの仲介業者が入ることはありません。
「マーケティングの神様」コトラーも、コミュニケーション・ミックスとしてダイレクト・マーケティングをあげる1人ですが、その特徴は3つあるといっています。
1 カスタマイズ(個々人に合わせて調整できる)
2 即時性(その場で質問に答えたり、注文を受けたりできる)
3 双方向性(反応に応じて修正できる)
その場で注文も受けられる
先ほどあげた例のうち、ダイレクト・メールは従来からあるSP広告の1つですし、テレ・マーケティングなどは人的販売に近いものといえます。にもかかわらず、ダイレクト・マーケティングが注目されるのは、特に人的販売のコストが高くついているからです。特に先進国では、人的販売のコストはコミュニケーション方法の中でずば抜けて高く、上昇することはあっても下がることはまれです。
しかも、ダイレクト・マーケティングには、人的販売同様、すぐに反応がわかるという大きなメリットもあります。先ほどの図を見るとわかるように、ダイレクト・マーケティングはその場で反応=注文が受けられるものばかりです。
広告・販売促進・PRでは、こうはいきません。その場で注文が受けられるというコミュニケーション方法は、とてもまれです。
そういう意味では、従来のコミュニケーション・ミックスの分類に加えて、ダイレクト・マーケティングを分類として意識しておくと、いずれ役に立つ日が来るかもしれません。
インターネットが変えたマーケティング
ダイレクト・マーケティングの中でも、最も新しく、最も成長が著しいのが「インターネット・マーケティング」です。インターネットは、それまでのコミュニケーションに比べて、大きな違いをもたらしました。
最初の図であげたダイレクト・マーケティングの3つの特徴でいえば、1 カスタマイズ、そして3の双方向性の点で、次元の違うコミュニケーションになったといってもいいでしょう。
消費者一人ひとりに合わせた「おすすめ」を表示することなど、もはや当たり前。ユーザーが自分で「マイ・ページ」などつくれば、それこそ世界に1つだけのカスタマイズができます。
しかも24時間アクセスができて、注文から決済まで、その場で完了することが可能なのです。
リサーチから電子商取引の決済まで
「インターネット・マーケティング」といったときには、単にウェブサイトを開設するだけでなく、広い範囲のマーケティング活動が含まれます。
マーケティング・マネジメント・プロセスで言えば、ウェブを利用したマーケティング・リサーチから始まって、インターネット広告、ウェブ上の電子商取引まで、マーケティングのあらゆるプロセスに関わっているといっても過言ではありません。
このうち、オンラインで行われるマーケティング・リサーチや電子商取引についてはすでに触れました。インターネット広告について、主なものについて紹介すると次のようになります。
もっとも、インターネットの世界もなかなか奥が深いものです。バナー広告を出すくらいのことは、どこの会社でも簡単にできますが、インタネット・マーケティングを徹底的に活用するとなると、相当のノウハウが必要になります。
特にIT技術は日進月歩で、次々に新しい技術や手法が開発され、登場していることにも注意が必要です。
販売促進とPR
SP広告とセールス・プロモーション活動
販売促進は、英語で「セールス・プロモーション」。日本語では、「販促」と略したりします。広告などとの大きな違いは、「インセンティブ(報奨)」の働きもあるということです。たとえば、商品におまけをつけて買ってもらうのも、立派なインセンティブです。
販売促進には、他にもいろいろな活動がありますが、大きく分けると「セールス・プロモーション広告(SP広告)」と、「セールス・プロモーション活動」があります。ここでは前の記事からの広告のつながりでSP広告のほうから説明しましょう。
SP広告はどんなものがあるか
SP広告の例は一部、前の記事にも上げましたが、詳しく見ると次のように多彩なものがあります。主なものを説明しましょう。
まず「POP広告」があります。「ポイント・オブ・バーチェス=購買時点」広告の略で、よく、小売店頭などに手書きで掲出されているのがこれにあたります。
「ダイレクト・メール(DM)」もSP広告の1つ。送らずに手渡しするものは「ダイレクト・ハンド(DH)」といいます。一方、新聞に折り込まれて届くのは「折り込み広告」です。1枚ものの広告は「折り込みチラシ」ともいいます。ティッシュなど添えて配布されるのは「街頭配布」ですが、場所により「店頭配布」になることもあります。住宅の郵便受けに入れるのは「戸別配布」です。
「屋外広告」にも、いろいろなものがあります。ただし、球場や競技場など、人が集まる場所に掲げるのは別に「特定施設内広告」と呼びます。
「フリーペーパー」「フリーマガジン」はおなじみですね。
そして、とにかく種類が多いのが「交通広告」。電車やバスの「車体広告」はもちろん、「駅広告」としては「駅貼り」があり、「タクシー広告」もよく見かけます。
「消費者向け」「流通向け」「社内向け」
続いてセールス・プロモーション活動を見ていきましょう、
セールス・プロモーション活動は、実は、大きく分けると3種類あります。「消費者向けプロモーション」、「流通業者向けプロモーション」、「社内向けプロモーション」があります。
消費者向けとしては、お店に商品を飾ること(店頭ディスプレー)から始まって、商品やサービスの実演(デモンストレーション)などが基本です。試供品・見本の提供(サンプル)や、割引券(クーポン)、引換金(バウチャー)の配布もおなじみです。
スタンプ(スタンプ・サービス)、現金の割り戻し(キャッシュ・バック)などもそのひとつです。そのほか、展示会(セールスショー)やイベントの開催(イベント・プロモーション)、イベントへの資金提供「イベント・スポンサーシップ」など、大掛かりなプロモーションもあります。
一方、オマケなどをつけて、買う気になってもらうものを「インセンティブ」といいます。消費者向けのインセンティブとしては、景品を付ける「プレミアム」、記念品程度を付ける「ノベルティ」、それに各種の競技会を開く「コンテスト」などが代表的です。
流通向けとしては、「報奨金」や「報奨旅行」、売上の一定割合を返金する「リベート」が一般的ですが、イベント関連で見本市(トレードショー)を開催することもあります。
「ディーラー・ヘルプス」とあるのは、流通業者に対して、販促資材の提供や経営指導、販売員教育などを行うものです。これらのうち、「コンテスト」は、消費者向けの作文コンテストなどの一般的なものから、流通向け・社内向けの販売コンテストまで、幅広く利用されています。こちらは、とくに「セールス・インセンティブ」と呼ぶこともあります。
広告(AD)とPRの違い
「PR」はパブリックリレーションズの略です。日本語では「広報」などと訳されます。一方で、広告(AD)は、アドバンスメントの略です。ではADとPRの違いは何でしょうか。
PR活動の1つに「パブリシティ」というものがあります。身近で言うと新聞や雑誌に記事として新製品情報などが載っていたりするものです。簡単にいうと、製品の情報などをマスコミに提供し、記事として取り上げてもらうもの。広告と違い、媒体料金は支払っていません。つまり、無料の広告のようなものです。
パブリシティは新製品情報に限らず、次の図のようなものがあります。
ちなみに、広告の手法の1つとして、情報を記事やニュースの形で流すこともありますが、この場合は広告料金を支払うのでパブリシティではなく「ペイド・パブ(リシティ)」といいます。
パブリシティも含めて、企業がパブリック(公衆)と良好な関係を築くための活動が「PR(パブリック・リレーション)」です。会社によっては、PR活動の大きな部分をパブリシティなど、報道対策が占めます。報道に対する情報提供の方法は、「プレス・リリース」と呼ばれる報道資料の配信や、個別の取材対応などです。
大きなイベントや画期的な新製品といった、重要な情報の場合には、記者会見(プレス・カンファレンス)を開くこともあります。
報道対策だけでなく、広告誌を発行したり、社会貢献活動を行ったりすることも、PR活動の1つです。いずれの活動にしても、広告に比べて、消費者の信頼を得やすいのが特徴です。新聞や雑誌の記事のほうが、広告より一般的に信頼されやすいし、買わされるという警戒心も起こりません。
プッシュ戦略とプル戦略
流通チャネルは、マーケティング全体に大きな影響を与えます。早い話、チャネルに販売店を使うか専門ディーラーを使うかで、価格戦略だって変わってきます。
なかでも深く関係し、大きな影響があるのが(コミュニケーション)プロモーション戦略です。
プロモーションの基本的な戦略の分類に、「プッシュ戦略」と「プル戦略」というのがあります。
「プッシュ戦略」とは、メーカーが人的販売や販売促進を通して業者に働きかけ、業者が消費者に対してプロモーションを行い、製品を購入するよう促すものです。メーカーの側から、消費者に向かって「プッシュ」=押す戦略です。
一方「プル戦略」では、メーカーは直接、消費者に向けた広告やプロモーションを行います。働きかけを受けた消費者は、業者に注文や要望を出し、業者がそれをメーカーに注文するのです。
消費者の側から、メーカーに「プル」=引くように仕向けることになります。
流通チャネルがコミュニケーション戦略に影響
そこで、どちらを採用するかですが、実際にはプッシュ戦略とプル戦略のどちらか一方で済むということではなく、両方をバランスよく使って効果を上げていくのがふつうです。
このとき、流通チャネルの長さや、業者のタイプなどが影響します。
上図は、前に説明したチャネルの段階数ですが、図下のように流通チャネルが長ければ、プッシュ戦略にはそれだけ多くの人的販売などの経営資源をつぎ込まなければなりません。逆に、流通チャネルがシンプルで、プル戦略に重きを置くのなら、消費者向けの広告やプロモーションにコストがかかるということです。
流通戦略を立てる際には、プッシュ戦略とプル戦略をどんなバランスで使うのか、同時に検討しておかなければなりません。
コミュニケーション戦略
ニーズに応えた製品、価格、流通ができても、それを消費者が知らなければ意味がありません。売り手側の会社からコミュニケーションをとって、知らせる必要があります。
その意味で、マーケティング・ミックスの第4戦略「プロモーション」はコミュニケーションということです。
消費者が多様化した現在、どの会社も、消費者に向けたコミュニケーションに努力しています。商品やサービスの情報はますます市場にあふれ、これからどんなコミュニケーションをとっていけばよいか、難しさは増す一方です。
どんなコミュニケーションの方法が可能なのかを見ていきましょう。
人的・非人的の「コミュニケーション・チャネル」がある
マーケティングでは、市場に何かを届ける経路として3つの「チャネル」を考えます。1つは「流通チャネル」、もう1つは「販売チャネル」。これは、販売を行う小売業者や電子商取引などのことです。
そして3つ目が「コミュニケーション・チャネル」です。市場の消費者と、コミュニケーションをとるためのチャネルです。またコミュニケーション・チャネルは「人的(パーソナル)」と「非人的(ノンパーソナル)」に分けることができ、それぞれ次の図にあるようなコミュニケーションの方法があります。
コミュニケーション戦略で使えるのは、これらの人的・非人的コミュニケーション方法のすべてです。
コミュニケーションは「ミックス」で考える
マーケティングのコミュニケーション(プロモーション)といった場合、すぐに思い浮かぶのはおそらく広告ではないでしょうか。
たしかに、広告はコミュニケーションとして重要です。しかし、広告だけではなく方法はその他にもあり、商品やサービスによっては別の方法が適している場合もあります。
マーケティングのコミュニケーションの方法として、主に利用されるのは次のようなものです。
まず、「広告」ですが、おなじみのテレビ・新聞・ラジオのほかにも、雑誌やインターネットなど「広告媒体」がいろいろあります。「販売促進」は、店舗にPOP広告を出したり、展示会やイベントを開催したりと、さまざまな活動の総称です。
「人的販売」は、対面して行う活動全般。っ情報を伝えるとともに、要望や感想が聞ける双方向のコミュニケーションが特長です。
以上の4つが基本になりますが、日本ではこれに「口コミ」を加えることも多く、「ダイレクト・マーケティング」も、コミュニケーション方法としてあげられることが多いです。これらの方法を合わせて、コミュニケーションを行うことを「コミュニケーション・ミックス」といいます。
広告媒体を組み合わせる「メディア・ミックス」
それでは、効果的なコミュニケーション・ミックスのために、それぞれのコミュニケーション方法の特徴と、内容を見ていきましょう。
まずは「広告」からです。
広告は、スポンサー名をつけて、有料で発信することが第1の特徴になります。わざわざ「有料」といったのは、後で理由がわかることでしょう。
広い地域の消費者に伝えることができる一方、テレビなど、一般にコストは高めです。ラジオなどは、比較的安くつきます。
広告を載せる倍遺体を「広告媒体」「メディア」と呼びます。メディアにはそれぞれの特徴がありますから、広告を出すときには、書くメディアの特徴を考えて組み合わせることが必要です。これを「メディア・ミックス」といいます。
マーケティング・ミックスの中のコミュニケーション・ミックスの中のメディア・ミックス、ということです。
媒体の特徴を活かした組み合わせ
メディア・ミックスの対象になる広告媒体は、次のように意外と数多くあります。
おなじみの「マスコミ4媒体」をはじめ、「インターネット」、販売促進の一環として行う「SP広告」など。「衛星メディア関連」とあるのは、マスコミ4媒体に含まれない放送などです。
このような各媒体の特徴を活かし、メディア・ミックスを効果的に組み合わせます。たとえばテレビは、インパクトの大きさと視聴者の多さでは群を抜いています。しかし、コストが高く、伝達できる情報量も多くありません。そこで、コストの安いラジオ、情報量の多い新聞と組み合わせるメリットが生まれます。
たとえば新聞は、雑誌に比べて、読者の数では大きくリードしているもの。しかし、雑誌には、ライフスタイルで読者のセグメントができるメッセージもあります。
このような徳量を活かしたメディア・ミックスが大切です。
サプライ・チェーン
今回は、サプライ・チェーンに関してです。(※前の記事と少し重複する部分があります)
サプライ・チェーン
従来の流通チャネルは、簡単に言えば工場から始まり、欲しい人にむかって、欲しいときに欲しいものを届けるというものでした。そのために、流通に関する戦略を立て、小売りや卸売の業者を選んで、流通チャネルを作り上げます。
しかし現在では、流通戦略はかより広い考え方をするようになっています。「サプライ・チェーン」がそれにあたります。
流通チャネルが、メーカーから消費者までつなぐことを考えたのに対し、サプライ・チェーンは、原材料から始まり、部品、製品ときて流通チャネルにつながり、消費者まで届く長いチェーン(連鎖)を考えます。
流通チャネルよりずっと早い段階から始まる、もっと長いチャネルということです。材料の段階からマーケティングが始まっているといっても過言ではないでしょう。
消費者が出発点にもなりゴールにもなる
流通をサプライ・チェーンと捉える経営管理手法「サプライ・チェーン・マネジメント」(SCM)では、メーカーは供給業者のみならず、供給業者のことまで視野に入れることになります。
そして、受発注や在庫、物流などの情報を全体で共有し、原材料や部品、製品の流通全体を最適化することを目指します。
そのためには、最新のITを活用した情報システムも欠かせません。そこから、その情報システム自体も「SCMシステム」と呼ぶことがあります。
サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)が、垂直型マーケティング・システム(VMS)と違うもう1つの特徴は、消費者をチェーンの出発点でありゴールと考えているところです。
次の図を見てください。
VMSと異なり、SCMでは消費者がパソコンなどの使用を自由に指定し、メーカーがそれを組み立てて提供するBTO(jBuilt To Order)という販売方式がありますが、これがSCMの代表的な例です。
マーケティング・システムの構築
流通チャネルを「システム」として動かす
流通チャネルにも、いろいろな考え方が登場しています。現在ではとくに、チャネルをメーカーや業者の寄せ集めでなく、システムとして動かそうという考え方が盛んです。
こうしたものは「〇〇マーケティング・システム」という名で呼ばれています。
昔ながらの流通チャネルは、メーカー、卸売業者、小売業者で形作られています。それぞれは独立した会社ですから、基本的に自社のことしか考えません。自社の利益を追求するあまり、他社に損害が生じようがおかまいなしです・・・。
これでは経済効率が悪いということで、考えられたのが「垂直的マーケティング・システム」(バーチカル・マーケティング・システム=VMS)というものです。メーカーから卸売業者から小売業者と続く垂直的な流れを、システムとして動かそうというわけです。
チャネルのうちのいずれかの会社が「チャネル・キャプテン」になって全体をコントロールしたり、チャネルをフランチャイズ化したりしてシステム化します。
VMSには、生産と流通を1つの企業で行う「企業型VMS」、メーカーと流通業者が契約によって統合する「契約型VMS」、契約はないが強力なチャネル・キャプテンの主導のもとで、生産・流通が統制される「管理型VMS」の3タイプがあります。
現在のチャネルは、VMSを発展させた「サプライ・チェーン・マネジメント」までをつなぐ業務のつながり(チェーン)のことで、VMSと違うポイントは消費者までも巻き込み、出発点とすることです。
消費者の注文で、希望の仕様のパソコンを組み立て、提携するBTO(Build To Order)という販売方法がありますが、これはSCMの代表的な例です。とくに、デル・コンピュータのBTOは、その成功例といわれています。
流通チャネルは1つとは限らない
同じ流通チャネルでない、関連のない会社同士がシステムを構成することもあります。新しい市場を開拓する場合などに、異業種の会社が提携してチャネル・システムをつくります。
これは「水平的マーケティング・システム」といいます。わかりやすい例をだすと、「ビックロ」(ユニクロとビックカメラの提携)があります。
さらに現在では、1社に1つの流通チャネル、という固定概念もなくなっています。ターゲットが複数あるなら、複数のチャネルを使えばいいという考え方で、「マルチチャネル・マーケティング・システム」と呼びます。
流通戦略を考える際には、こうした「〇〇マーケティング・システム」も検討も必要です。
Place(流通)
今回はマーケティングの「4つのP」でもある【流通】についてです。
「流通」といわれると、トラックとか配送センターとか、「物流」のイメージがありますが、物流だけが流通ではありません。
~流通には3つの機能がある~
日本では一般に、流通の内容として3つの「〇流」をあげます。
第1は、言うまでもなく「物流」。製造から消費者に至るまで、モノとしての製品の流れです。
第2は、「商流」。これはモノの所有権と、代金などお金の流れを指します。通常、所有権はモノの流れにそって流れますが、代金の流れは逆方向です。
それでも昔は、物流と商流が同じ経路をたどっていたものですが、現代では必ずしも一致していません。たとえば、注文は販売代理店が受けたのに、配送は直接、工場から消費者へ、といったケースもみられるでしょう。
そして第3の流通は「情報流」です。つまり、物流や商流、あるいは製品そのものに関する情報も、流通経路を通じて流れているのです。たとえば、注文や配送の情報、取引の情報、決済の情報などが情報流として流れています。
流通戦略では、この3つのj機能を考える必要があります。
流通チャネルにはいろいろな要素がある
物流にしろ、商流、情報流にしろ、メーカーから直接、消費者に流れるケースはむしろまれです。間に卸売・小売といった業者が入ることが多いでしょう。
そうすると、メーカー → 卸売 → 小売 → 消費者という流通の経路ができあがります。この経路が、「マーケティング・チャネル」とか「流通チャネル」と呼ばれるものです。流通戦略とは、この流通チャネルをどうつくりあげるかということにほかなりません。
流通チャネルには、さまざまな要素があります。たとえば、メーカーと消費者の間に何段階の業者を入れるか。その段階数によってチャネル、すなわち流通経路の長さが変わってきます。
ネットや各種の通販は、間に業者が入らない「0チャネル」です。小売店を入れると「1段階チャネル」、さらに卸売業者を入れると「2段階チャネル」、大卸まで入れると「3段階チャネル」となります。
自社のターゲットとする顧客が、どんな流通を求めているのかを考えて、これらを決めていかなければなりません。
間に入れると業者にしても、通常の小売店や卸売業者でよいのか、あるいは販売代理店にするかなど、いくつかのタイプがあります。
「排他的流通」「選択的流通」「開放的流通」
全体的な業者の数は、流通に関する戦略によって違ってきます。
「排他的流通」は、業者の数を極端に制限する戦略です。1地域に1社といった限定をして、ブランド・イメージを厳しくコントロールしたい場合などに選択します。
一方、数社に絞り込んで選ぶのが「選択的流通」。ある程度コントロールもしやすく、コストも課題にならずにすみます。
「開放的流通」では、業者を選びません。できるだけ多くの店においてもらって、どこでも買ってもらえるようにします。
これらの戦略のどれを選ぶかで、必要な業者の数も変わり、流通チャネルの形態も変わってきます。