ベネフィット~顧客(お客様)が欲しいのはドリルではなく穴~
今回のタイトルは有名なマーケティングの格言の1つなんですが、初めて見る方は何の事か検討もつかないかもしれません。
元はアメリカの経営学者セオドア・レビットが「マーケティング発想法」というベストセラー本の中で紹介したものです。
【顧客は、4分の1インチのドリルが欲しいのではない。4分の1インチの穴が欲しいのだ】
つまり、ドリルを買いにきた顧客は、ドリルを欲しがっているように見えて、実は穴が開けられる何かを求めているということです。必要な穴が開けられるなら、別の道具でも、代わりに穴を開けてくれるサービスでも、構わないのです。
言い換えると、顧客は商品やサービスを買っているのではなく、その商品やサービスから得られる効果のようなものを買っているということです。
この効果、効用のことを【ベネフィット】と呼びます。
日本語では「便益」、「利益」「恩恵」といった意味です。
顧客のニーズがベネフィットにあることを理解しておくと、マーケティングの選択肢が広がります。
ドリル以外に穴を開ける別の道具を売ることもできるし、顧客の代わりに穴を開けるサービスの提供だって考えられるでしょう。
会社は単に商品やサービスを提供してニーズに応えているのではないのです。
会社は、顧客のニーズを満足させるためにベネフィットを提案し、それを提供することによってニーズに応えています。ベネフィット自体は形のないものですが、会社が商品やサービスとして提案し、提供することでベネフィットを与えられます。
ベネフィットについてコトラーが上げた例も紹介しておきましょう。
「口紅を買う女性は、唇に塗る色を買っているのではない」
つまり、口紅は唇に塗る色を売っているのではなく女性が美しくなる希望を売っているということです。
ではもうひとつ例を出していきます。
Ex 携帯音楽プレイヤー
携帯音楽プレーヤーでベネフィットを考えていきます。
携帯音楽プレーヤーを買った人は、携帯音楽プレーヤーが欲しかったのではなく。外出中でも音楽が聞きたいというベネフィットを買っています。
今でいえば、iPhoneやXPERIAの中の音楽再生アプリなどです。その前でいうと「WALKMAN」や「ipod」でした。
このように顧客はそれによって得られるベネフィットを買いにきているのです。